今年の春闘は大幅な賃上げでスタートしました。大企業の集中回答日となった3月13日。連合の第1回回答集計では賃上げ率5.28%(加重平均)と1991年以来、33年ぶりに5%を超えました。第3回集計(4月2日、2620組合)でも、大幅賃上げとなった昨年同時期を1.54ポイント上回る5.24%と高い率となっています。
また、今年の特徴は労働組合の要求に満額回答ないし要求額以上の回答を出している企業が多いことです。自動車、電機、鉄鋼など製造業の5つの産業別労働組合で構成する金属労協の3月13日の集計によると、48組合のうち、定期昇給を含まないベースアップの平均は1万4,877円。そのうち87.5%の組合が要求額以上の回答を得ています。
メディアは歴史的な賃上げと報じていますが、今後を左右するのは4月以降から5月にかけて判明する中小企業の動向です。全労連や中立組合など中小企業の労組などでつくる国民春闘共闘委員会が3月15日に発表して第1回賃上げ集計結果(228組合、3月13日)によると、賃上げ率は2.52%(加重平均)。4月4日の第4回賃上げ集計結果(794組合)では2.40%と、率・金額ともに前年同期を上回っていますが、連合の5.24%とは大きな開きがあります。
首都圏に店舗を持つ城南信用金庫が3月24日に公表した「第25回お客様・街の声」(3月13日~15日)では、2024年の賃上げ予定についても聞いています。取引先の多くは中小零細企業ですが、「賃上げをする予定」と回答した企業は36.0%にすぎませんでした。一方、「賃上げの予定がない」と回答した企業は30.9%。「まだ決めていない」と回答した企業が33.1%もありました。
中小企業は人手不足もあって賃上げしたいが、それも難しいなかで苦悩していることがうかがえます。価格転嫁の状況もきになります。日本の雇用労働者の70%を占める中小企業の賃上げがどうなるのか、今後の動向を注視していく必要があります。