大卒初任給の高騰が続いています。2022年頃から初任給相場が崩れ、この2~3年引き上げが相次いでいます。しかも人事主導ではなく経営サイドの意向が強いのが特徴で、もちろん目的は優秀な人材の獲得です。
初任給の引き上げは大企業に限りません。人手不足は中堅・中小企業も同じであり、初任給引き上げ競争に追随していることが読み取れます。産労総合研究所の「2023年度決定初任給」調査 (23年4~5月)によると、初任給を引き上げた企業は68.1%と、25年ぶりに6割を超えています。規模別では「1,000人以上」が82.2%と最も高いですが、「300~999人」も75.0%、「299人以下」でも54.5%と、いずれも2022年度を大きく上回っています。大卒 (一律)の平均初任給は21万8,324円。引き上げ率は前年度比2.84%で1993年度の2.3%以来の高い伸び率となっています。
また、労務行政研究所の「2023年度決定初任給の最終結果」(23年6月20日現在)によると、大卒 (一律)の平均初任給は21万9,946円、前年度比2.9%増となっています。ただし、規模別では「1,000人以上」が22万3,743円、前年度比3.4%増と最も高く、「300~999人」が21万9,276円、前年度比2.7%、「300人未満」が21万6,068円、前年度比2.4%増となり、金額、引き上げ率ともに大企業と中小企業の間の格差も生まれています。
さらに、24年賃上げ率や消費者物価上昇率、有効求人倍率の予測を加味した同研究所の「2024年3月卒者の初任給予測」によると、大卒一律で22万8,390円、引き上げ率3.84%と予測しています。