毎年政府によって打ち出される「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太の方針」に”女性版”があるのをご存じでしょうか。政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」と「男女共同参画推進本部」との合同会議で決定した「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」がそれで、「女性版骨太の方針2022」と言われています。
女性版骨太の方針では、①女性の経済的自立、②女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現、③男性の家庭・地域社会における活躍、④女性の登用目標達成 などの方針を掲げています。なかでも岸田政権は「新しい資本主義」の実現に向けて、「女性の経済的自立」を中核に位置付けて、女性活躍・男女共同参画の取組みを加速する考えのようです。
「女性の経済的自立」では、主な取り組みとして次の2つが挙げられています。
1.男女間賃金格差の是正
「社内格差」への対応では、男女間賃金格差に係る情報の開示や、パートタイム労働者に女性が多いことを考慮して、「同一労働同一賃金」の徹底を図るとしています。
一方、「職種間格差」への対応では、女性比率が高いサービス業での賃金引上げや、比較的高賃金が見込まれる成長分野への労働移動の支援を掲げています。まず、2022年2月から実施している看護、介護、保育などの分野で働く人の賃金引き上げ措置について、10月以降も継続して実施するとしています。
2.女性デジタル人材の育成
政府の男女共同参画会議で決定した「女性デジタル人材育成プラン」に基づいて、デジタル分野でのスキル取得支援や就労支援を今後3年間、集中的に実施するとしています。
また、DX推進に係るスキル習得や能力育成など、産業界での人材ニーズを踏まえたリカレント講座(学び直し)の企画・実施も取組み事項に挙げられています。
女性版骨太の方針では、今後は社会保障制度や税制等についても、女性の視点から検討を進めるとしており、新たな制度改正に結び付くことも考えられます。